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第1回:イントロダクション ― 企業財務のフレームワーク

1. 学習テーマ

  • キャッシュフローと時間価値
    • 将来のキャッシュフローを現在価値に換算する基本概念。
  • 資本コストの理解
    • 企業が資金調達する際に求められるリターン=「期待利回り」としてのコスト。

2. なぜ重要か?

  • これらの概念は、事業計画の立案企業価値評価の根幹となるため、今後の応用に向けて基礎固めが不可欠。

3. 取り上げる基礎構造

  • 財務三表(BS、PL、CF)の仕組み
    • それぞれの表が何を意味しているか
    • それぞれの表同士のつながり(例:利益とキャッシュフローの関係)
  • アカウンティングとファイナンスの違い
    • 会計(Accounting):事後的な「記録と報告」
    • 財務(Finance):将来的な「意思決定と価値評価」
  • ファイナンス理論の体系
    • 資金調達と資金運用に関する一連の理論
    • 視覚的に理解できるよう図解も用いる

4. Case Study:Amazon.com

  • 実際の企業財務を通じて、利益とキャッシュフローの違いや成長企業の投資判断を検討。

5. Focus Questions(考察用の問い)

  1. 会計上の「利益」と、「キャッシュフロー」にはどのような違いがありますか?
    1. → 利益は発生主義、キャッシュフローは実際の現金の動き。
  1. フリーキャッシュフローとはどのようなものですか?
    1. → 企業が事業活動で稼いだキャッシュのうち、自由に使える部分。
  1. なぜ、リスクの高い事業の割引率は大きいのですか?
    1. → リスクが高いほど、期待されるリターンが高くなければ投資者は納得しない。

ファイナンスの全体像と分類

1. ファイナンスの2大分野

ファイナンスは、大きく次の2つの分野に分かれる:

■ インベストメント(投資)

  • 対象:株式・社債などの金融資産
  • 主なテーマ
    • 金融資産の価格評価
    • 期待リターンの計算
    • ポートフォリオ理論(リスクとリターンの最適配分)
    • オプション理論(デリバティブの価値評価)

■ コーポレートファイナンス(企業財務)

  • 対象:企業の資金調達・投資・株主還元に関する意思決定
  • 主な問い
    • どのように資本を調達するべきか?
    • 投資案件をどう評価すべきか?
    • 得られたリターンをどう株主へ還元するか?
  • 主な理論・手法
    • 企業価値評価(例:DCF法)
    • MM理論(資本構成と企業価値の関係)
    • 配当政策(内部留保か配当か)

2. 本講義のフォーカス

  • コーポレートファイナンスを中心に解説
    • 企業の経営判断に直結する実践的ファイナンス知識を習得。

会社経営の3つの基本要素

企業経営は、「ヒト」「モノ」「カネ」の3要素のバランスによって成り立つ。
いずれか一つでも欠けると、持続的な経営は困難になる。

1. ヒト(人的資本)

  • 内容:人的資本管理、リーダーシップ、コーチングなど
  • 目的:人材の育成・組織能力の向上によって、組織の力を最大化

2. モノ(オペレーション資本)

  • 内容:マーケティング、オペレーション戦略、プロダクトマネジメントなど
  • 目的:製品・サービスの価値創造と競争力の確保

3. カネ(財務資本)

  • 内容:アカウンティング(会計)とファイナンス(財務)
  • 目的:資金の適切な記録・管理、および活用による企業価値の最大化

アカウンティング(会計)とファイナンス(財務)は車の両輪

  • 企業経営には両方が不可欠
    • 会計:企業活動を正確に記録・報告
    • 財務:将来に向けた資金の運用・調達の意思決定
  • どちらが欠けても、企業経営は機能不全に陥る

会計と財務の主役の違い

分野
主役となる概念
説明
アカウンティング
利益
売上から費用を差し引いた指標。発生主義に基づく。
ファイナンス
キャッシュ(現金)
実際の現金の流れ。会社が生き残るための「血液」。

キャッシュの重要性:黒字倒産 vs 赤字存続

  • 黒字倒産
    • 会計上は利益が出ていても、手元資金(キャッシュ)が尽きると支払い不能 → 倒産。
  • 赤字存続
    • 会計上は赤字でも、十分なキャッシュがあれば、投資や借入で会社は継続可能。

ファイナンス学習での基本姿勢

  • 利益よりキャッシュに着目
    • 企業価値の源泉はキャッシュフロー
    • DCF法など、企業価値評価の多くは「将来のキャッシュフロー」に基づく
  • キャッシュのコントロールが経営の鍵
    • キャッシュの入り(収入)と出(支出)を意識した経営判断が必要

会計基準とキャッシュフローの違い

1. 会計基準による利益の変動

  • 会計基準や会計処理方法によって、利益の額は変動する可能性がある。
  • 例:減価償却の期間
    • 8億円の機械設備を10年で減価償却する場合と、8年で減価償却する場合で、年間2千万円の差が生じる。
    • 計算例:
      • 8億円 ÷ 8年 = 1億円/年(8年減価償却)
      • 8億円 ÷ 10年 = 8千万円/年(10年減価償却)
      • 差額: 1億円 - 8千万円 = 2千万円

2. キャッシュフローの安定性

  • キャッシュフローは、実際の現金の流れを反映するため、利益と異なり変動しない。
  • 上記の減価償却のケースでは、購入時に8億円のキャッシュアウトが発生するが、その後は減価償却に関係なくキャッシュの変動はない。
    • 減価償却は「経費」ではあるが、現金の流れには影響しない(非現金支出)。

3. 「利益は意見、キャッシュは事実」

  • 利益:会計基準や処理方法によって変動可能で、ある意味「意見」や「主張」とも言える。
    • 会計担当者の見解によって決算数値が異なる可能性がある。
    • 最悪の場合、粉飾決算も可能。
  • キャッシュフロー:実際の現金の流れに基づくため、「事実」として確定している。
    • 粉飾するのが極めて困難であり、会社の実態を正確に反映する。

4. 利益とキャッシュフローの関係

  • 利益は操作可能だが、キャッシュフローは操作不可能。
  • 投資家や経営者は、利益だけでなく、キャッシュフローの実態にも注目する必要がある。

キャッシュの重要性:経営破綻と「Cash is King」

1. キャッシュフローの不足=経営破綻

  • キャッシュが回らなくなると、すぐに経営破綻
    • 手形不渡り:たった2回の手形不渡りで、銀行取引が停止され、事実上の倒産となる。
  • 実際の危険性
    • 会社がキャッシュフローを回せないと、支払いが滞り、取引先や銀行から信用を失う。
    • その結果、取引停止や倒産が現実のものとなる。

2. 欧米のビジネススクールで学ぶ“Cash is King”

  • 欧米のファイナンス教育で、最初に強調されるのが「Cash is King」(キャッシュこそが王者)という言葉。
    • どんなに利益を上げていても、キャッシュがなければ事業は運営できない。
    • 企業の真の健康状態は、利益ではなく、キャッシュフローで判断される。

3. 日本のメインバンク制とその影響

  • 戦後日本のメインバンク制が発展した理由:
    • 慢性的な資本不足:企業は十分な資本調達が困難であり、銀行が貸し手であり、監督役も担っていた。
    • 銀行は、資金提供だけでなく、経営を監視・サポートする役割を果たしていた。
  • メインバンク制の影響
    • 資金供給の源が銀行に偏り、起業環境が長く厳しかった
    • 銀行に頼らざるを得ない企業は、融資条件や運営方針に影響を受けやすかった。

4. ディープテック系スタートアップの課題

  • ディープテック系スタートアップ(技術革新に基づいた新規事業)の場合、特に長期的な収益化が困難。
    • 創業初期のキャッシュの確保が最も重要な経営課題となる。
    • 長期間にわたり収益を得るまでのキャッシュフローをどう維持するかが、事業の生存と成長に直結する。

貸借対照表(B/S)の概要

1. 貸借対照表とは

  • 決算日時点での企業の財政状況を示す報告書。
  • 企業が「どれだけの資産を持っているか」と「どのようにその資産を調達したか」を明確にする。

2. 貸方(右側) - 資金の調達方法

  • 資金をどう調達したかを示す部分。
    • 株主からの出資:会社が株式を発行して資金を調達。
    • 金融機関からの借り入れ:銀行などからの借金。
    • サプライヤーへの買掛金:商品やサービスを提供した業者への未払金。
    • 1年以内に返済すべきもの:短期負債(1年以内に支払わなければならない債務)。
    • 会社が銀行から借りたお金は「借入金」として貸方に記載される。
    • 株主からの出資は「資本金」として記載される。

3. 借方(左側) - 資産の内容

  • 資産の内容、つまり会社が持っているモノを示す部分。
    • 現金:実際に手元にあるお金。
    • 仕入れた商品:売るために仕入れた商品。
    • 土地や建物:不動産などの長期資産。
    • 会社:所有する子会社や株式など。
    • 1年以内に現金化できるもの:短期資産(現金化が早いもの、例えば売掛金)。
    • 会社が所有している土地や建物は「固定資産」として借方に記載される。
    • 手元の現金は「現金及び預金」として記載される。

4. バランスの取り方

  • 貸借対照表は、貸方(資金調達側)と借方(資産側)の金額が一致する必要があります。
    • これは「資産=負債 + 資本」の基本的な会計式に基づいています。
    • 企業がどのように資金を調達し、どこに使っているかが一目で分かります。

まとめ:

  • *貸借対照表(B/S)**は、会社が持っている資産と、それをどう調達したかを示す財務報告書です。
  • 貸方(右側):資金調達の方法(借入金や出資など)。
  • 借方(左側):保有している資産の内容(現金や不動産など)。

複式簿記の概念

1. 複式簿記とは

  • 取引の二面性に着目した記帳法。
    • すべての取引には原因結果、つまり「借方」と「貸方」が存在する。
  • 借方:資産や費用(支出や利用)。
  • 貸方:負債、純資産、収益(借金や売上)。

2. 記帳の方法

  • 借方貸方同じ金額を記載。
    • これは取引のバランスを取るためで、どちらか一方だけでは経済活動を正確に反映できない。
    • 例:商品を現金で購入した場合
      • 借方(資産):商品
      • 貸方(資産減少):現金

3. 複式簿記の重要性

  • 貸借対照表におけるBalance Sheet(貸借対照表)にあるように、借方と貸方は必ず一致することが前提。
  • この一致によって、財務状況が正確に反映され、誤りや不整合を防ぎます。

4. ゲーテの名言

  • ゲーテは複式簿記について、以下のように表現しました:
    • 「複式簿記が商人に与えてくれる利益は、計り知れないほどだ。人間の精神が生んだ最高の発明の一つだね。」
  • 複式簿記は、商業活動の発展に不可欠な手法であり、企業経営の基盤となっています。

5. 単式簿記との違い

  • 単式簿記は、取引を一方向にのみ記録する方法。通常、収入や支出など一方的な記録しか行わないため、取引の全貌を把握することが難しい。
  • 複式簿記では、取引の原因と結果が両方記録されるため、より正確で包括的な財務情報を得ることができます。

まとめ

  • 複式簿記は、取引の二面性を記録するため、企業の財務状況を正確に反映するための重要な手法です。
  • ゲーテが称賛するように、商業活動の基盤として不可欠な発明であると言えます。

損益計算書(P/L)とは

損益計算書(Profit and Loss Statement)は、ある一定期間(通常は1年または1四半期)の企業の収益費用を記録し、最終的にその期間の利益または損失を明示する財務諸表です。主に企業の営業活動がどれだけ利益を生んだかを把握するために使用されます。

損益計算書の構成

損益計算書は、以下の主要な項目で構成されます。
  1. 売上高(Revenue/Sales)
      • 企業が商品やサービスを提供して得た総収益。これは、企業の営業活動から得られる最も基本的な収益です。
  1. 売上原価(Cost of Goods Sold, COGS)
      • 商品やサービスを提供するためにかかった直接的なコスト。原材料費や労務費など、製品を生産するために必要な費用です。
  1. 売上総利益(Gross Profit)
      • 売上高から売上原価を引いた金額。
      • 計算式:売上総利益 = 売上高 - 売上原価
  1. 営業利益(Operating Profit)
      • 営業活動に関連する利益で、売上総利益から販売費や一般管理費(販管費)などを差し引いたものです。
      • 計算式:営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費(販管費)
  1. 経常利益(Ordinary Profit)
      • 営業利益に営業外収益(受取利息、配当金など)や営業外費用(利息支払など)を加減したもの。
      • 計算式:経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
  1. 税引前当期純利益(Profit Before Tax)
      • 経常利益から特別利益や特別損失を加減した金額。税金が差し引かれる前の利益です。
  1. 当期純利益(Net Profit)
      • 最終的な利益。税引き後の利益で、企業の最終的な収益力を示します。

損益計算書の重要性

  • 収益性の把握: 企業が一定期間でどれだけ利益を上げたのかを示すため、経営者、投資家、株主などが企業の収益性を評価するのに役立ちます。
  • コスト管理: 売上原価や販売費、一般管理費などの詳細がわかるため、コスト管理効率化に役立ちます。
  • 経営判断の材料: 企業の利益構造損益バランスを把握するため、戦略的な意思決定に重要な資料です。

損益計算書と貸借対照表(B/S)の違い

  • 損益計算書:一定期間の収益と費用を示し、その結果として利益や損失を算出します。
  • 貸借対照表(B/S):決算日時点での資産、負債、純資産を示し、企業の財政状態を表します。

キャッシュフロー計算書(CF)とは

キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)は、ある一定期間(通常は1年または1四半期)における企業の現金の流れを示す財務諸表です。これにより、企業がどのように現金を調達し、どのように使用したかが明確になります。キャッシュフロー計算書は、特に企業の実際の現金の流れを把握するために非常に重要です。

キャッシュフロー計算書の構成

キャッシュフロー計算書は、通常3つの主要なセクションに分かれています:
  1. 営業活動によるキャッシュフロー(Operating Cash Flow)
      • 企業の本業に関連する現金の流れ。
      • 具体的には、商品やサービスの販売収入、仕入れ、従業員への給与支払い、運営費用の支出などです。
      • 営業活動によるキャッシュフローは、企業の事業活動の健全性を示し、利益をどれだけ現金化できているかを示す重要な指標です。
  1. 投資活動によるキャッシュフロー(Investing Cash Flow)
      • 資産の購入や売却に関連する現金の流れ。
      • 例:設備投資、固定資産(不動産や機械など)の購入、株式や債券の売買、子会社や事業の買収などです。
      • 投資活動によるキャッシュフローがマイナスであれば、企業が将来の成長のために積極的に投資していることを示し、プラスであれば、企業が不要な資産を売却しているか、事業の縮小を行っていることを示唆します。
  1. 財務活動によるキャッシュフロー(Financing Cash Flow)
      • 資金調達返済に関連する現金の流れ。
      • 例:株式の発行、借入金の取得、配当金の支払い、借入金の返済などです。
      • 企業が資金調達負債の返済にどのように関与しているかを示します。

キャッシュフロー計算書の重要性

  1. 現金の健全性の把握
      • キャッシュフロー計算書は、企業が実際にどれだけの現金を生み出しているか、またどれだけの現金を使用しているかを示します。利益が出ていても現金が足りないと経営に問題が生じます。逆に、赤字でも現金が回っている場合は、企業は存続し続けることができます。
  1. 事業運営の健全性
      • 営業活動によるキャッシュフローが継続的にプラスであることが重要で、これにより企業の収益力キャッシュ管理の状態が分かります。
  1. 将来の投資や配当支払いの可能性
      • 投資活動や財務活動によるキャッシュフローの状況により、企業が今後どれだけ成長投資を行う可能性があるか、また株主にどれだけ配当金を支払う余力があるかが示されます。

損益計算書(P/L)との違い

  • 損益計算書(P/L)は、一定期間の収益と費用を示し、その期間の利益や損失を計算しますが、実際の現金の流れは必ずしも反映されません。
  • キャッシュフロー計算書(CF)は、実際に企業が手元に持っている現金の動きを示し、収益が現金化されていない場合や、利益と現金の違いを明確にします。

まとめ

キャッシュフロー計算書(CF)は、企業が一定期間内にどのように現金を得て、どのように使ったかを示す財務諸表であり、企業の経営状態や成長性資金繰りの健全性を評価するために非常に重要です。特に、営業活動によるキャッシュフローが安定してプラスであることが、企業の持続的な運営にとって重要な指標です。

キャッシュフローから企業を読み解く(1/2)

企業A社の状況を分析するためには、営業、投資、財務の各キャッシュフローを区分別に分けて考える必要があります。

前提情報

  • 前期末キャッシュ残高:1,700
  • 今期末キャッシュ残高:1,400
  • キャッシュの減少:1,400 - 1,700 = -300(キャッシュが300減少)
これだけでは、企業の経営状況を分析することはできない、キャッシュフロー区分をしてから分析する必要がある

分析方法

この300の減少がどこから来たのか、どの活動が影響を与えているのかを確認するために、次の3つのキャッシュフロー区分で分析します。
  1. 営業活動によるキャッシュフロー
    1. 営業活動が企業の本業から得る現金の流れです。これがプラスであれば、企業は事業運営からキャッシュを生成していることを意味し、逆にマイナスであれば、営業活動が現金を消費していることになります。
  1. 投資活動によるキャッシュフロー
    1. 企業が資産(設備、投資など)を購入したり売却したりする際の現金の流れです。投資活動がマイナスであれば、新しい設備への投資などに現金を使用していることを示します。プラスの場合は、不要な資産の売却や投資回収を示しています。
  1. 財務活動によるキャッシュフロー
    1. 企業の資金調達活動、つまり借入や株式発行、負債返済、配当支払いなどの現金の流れです。プラスの場合、企業は資金調達をしており、マイナスの場合は、負債の返済や配当支払いをしていることを意味します。

このように、各キャッシュフロー区分ごとに分析することで、企業A社の経営状態をより詳細に理解することができます。次回は、この情報を元に、どのように分析を行うかについて詳しく説明します。

フリーキャッシュフロー(FCF)

  • 定義:営業活動によるキャッシュフローと、投資活動によるキャッシュフローを合計したもの。
    • つまり、事業から得られたお金(利益)から、事業に必要な運転資金や投資に必要なお金を差し引いた分。
  • 経営者の自由に使えるお金
    • フリーキャッシュフローは、経営者が自由に使えるお金であり、企業が事業の成長や返済、株主還元などに使うことができる。
  • 事業価値評価の出発点
    • フリーキャッシュフローはコーポレートファイナンスにおける事業価値評価の基盤となる重要な概念。これから何度も登場するため、しっかり覚えておく必要があります。

フリーキャッシュフローは企業の実質的な「余剰資金」を表し、企業価値を評価する際に非常に重要な指標です。
以下のように整理しました:

現在価値(Present Value, PV)

  • 定義
    • 現在価値とは、将来のキャッシュフロー(または収益)を現在の価値に割り引いたものです。将来の金銭は、時間の経過とともに価値が変動するため、将来の金額を現在の価値に換算するための計算が必要です。
  • 時間価値のお金
    • お金には「時間価値」があるという概念に基づきます。将来受け取るお金は、現在手に入れたお金と同じ価値ではないため、その価値を割引いて計算します。
  • 割引率(Discount Rate)
    • 将来のキャッシュフローを現在価値に換算するためには「割引率」を使用します。この割引率は、資本コストやリスクなどに基づき設定され、将来の金額をどれだけ割り引くかを決定します。
  • 計算式: 現在価値(PV)の計算式は次の通りです:
    • FV: 将来価値(Future Value)
    • r: 割引率(Discount Rate)
    • n: 期間(期間数)
  • 用途
    • 現在価値は、将来の収益や支出を評価する際に重要な役割を果たします。企業価値評価や投資判断を行う際に、将来のキャッシュフローを現在の価値に換算するために使用されます。

現在価値の考え方は、将来の利益やリスクを加味して、現在の意思決定に活かすために必要な重要な概念です。
以下に、現在価値(PV)を計算する簡単な例を示します。

例:

あなたが1年後に100万円を受け取るとします。現在の割引率が5%だとすると、この100万円の現在価値はどれくらいか計算してみましょう。

情報

  • 将来価値(FV):100万円
  • 割引率(r):5%(0.05)
  • 期間(n):1年

計算式

結果

現在価値(PV)は約95万2,380円となります。

解説

  • 1年後に100万円を受け取るよりも、現在手に入れる95万2,380円の方が同じ価値を持つことがわかります。5%の割引率を考慮すると、時間が経過することでお金の価値が減少するため、将来の金額を現在の価値に換算する必要があります。
この例のように、将来のキャッシュフローを現在の価値に割り引くことによって、投資の価値を正確に評価することができます。

企業やモノの価値を評価する方法

企業やモノ(株や不動産など)の価値を評価する方法は大きく分けて以下の3つがあります:
  1. 原価法
      • 取得した際の価格から計算する方法です。取得コストを基に価値を評価します。
  1. 取引事例比較法
      • 最近の売買事例を参考にして評価する方法です。同じような資産や企業が取引された価格を基に価値を推定します。
  1. DCF法(収益還元法)
      • DCF(Discounted Cash Flow)法
        • 将来の収入の現在価値(割引キャッシュフロー)から割り出す方法です。
        • 将来、その企業やモノがどれだけのキャッシュを生み出すことができるかを基に価値を評価します。

ファイナンスでの基準

  • ファイナンスでは、主にDCF法をベースに企業やモノの価値を評価します。将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて計算する方法です。

DCF法は、将来のキャッシュフローを現在価値に換算して、その価値を算定するため、企業の本質的な価値を評価する方法として広く使われています。

DCF法(割引キャッシュフロー法)とは

DCF法は、将来の収益を今の時点での価値に変換して、企業やモノ(例えば不動産や株)の価値を計算する方法です。
でも、未来のお金は今のお金より価値が少し低くなると考えるんです。なぜなら、今使えるお金の方が、時間が経つごとに使い道が少し変わったり、インフレなどで価値が下がるからです。

簡単な例で説明

例えば、あなたが企業Aを買いたいと考えていて、その企業は今後5年間で毎年お金を儲ける予定です。
  • 1年目:100万円
  • 2年目:120万円
  • 3年目:140万円
  • 4年目:160万円
  • 5年目:180万円
でも、未来のお金は今の価値より少し低くなるので、1年目の100万円が今の価値でいくらかを計算する必要があります。

どうやって計算するのか?

  1. 1年目の100万円を、10%の割引率で計算します。これは、未来のお金が今の価値に比べて10%減るということを意味します。
      • 100万円 ÷ (1 + 10%) = 100万円 ÷ 1.1 = 約90.91万円
      • なので、1年目の100万円は今の90.91万円に相当します。
  1. 同じように、2年目、3年目、4年目、5年目のお金も、それぞれ割引率を使って計算します。

最終的な価値

全ての計算結果を足し算します。すると、企業Aの現在の価値がわかります。

1. お金のレンタル料

金利は基本的に、借りる側が貸し手に支払う「レンタル料」と捉えられることもあります。つまり、お金を借りることに対するコストです。

2. 金銭の時間的価値

時間が経つとお金の価値は変わります。将来もらえるお金は、今もらえるお金より価値が低いという考え方です。これが割引率の本質的な部分です。

3. 時間をお金に変えたもの

お金の価値は時間によって変動しますが、それを考慮して「今の価値に戻す」のが割引率です。将来のキャッシュフローを今の価値に変換することで、企業やプロジェクトの「現在の価値」を計算します。

リスクプレミアム

不確実性が高い、つまりリスクが高い案件に対しては、リスクに見合ったリターンが求められるため、金利(割引率)を高く設定します。これが「リスクプレミアム」です。
例えば、銀行預金の金利は非常に低いですが、株式投資の金利(リターン)は高くなる傾向があります。これは株式投資の方がリスクが高いからです。

リスクとリターンのトレードオフ

リスクが高いほど、高いリターンを求める傾向がある、という理論です。例えば、安定した企業の社債は低金利で借りられる一方で、スタートアップ企業の社債は高金利になります。リスクが高いほど、投資家はより高いリターンを期待します。
情報感度を鋭くすることは、ビジネスや経済に関して非常に重要ですね。日経新聞や経済ニュースサイトをしっかりと活用して、常に最新の情報をキャッチする姿勢は素晴らしいと思います。これからも積極的に情報を取り入れて、知識を深めていってください!
Amazonの経営スタイルは非常に特異であり、以下の点が特徴的です。
  1. 長期目線の経営: 顧客満足を最優先に考え、長期的な視点で経営を行っています。
  1. フリーキャッシュフロー最適化: キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の改善を重視し、事業で得たキャッシュを最大化しています。
  1. 成長投資への集中: 事業で得たキャッシュを惜しみなく研究開発や新規事業への投資に使い、長らくPL上の赤字を気にせず事業拡大を続けました。
  1. 株主還元の不実施: 自社株買いや配当などの株主還元は行わず、成長投資に集中しています。
  1. 株主コミュニケーション: ステークホルダーからの信任を得るため、株主とのコミュニケーションを重視し、赤字経営を支える基盤としました。
これらの経営手法は、その後のスタートアップ企業の資本政策に大きな影響を与えました。しかし、過酷な労働環境や節税手法については多くの批判もあります。

学べる内容:
  1. ビジネスのリスクとリターンの定量的把握
  1. 時間の価値の計測
  1. ビジネスプランの立案・分析&評価
  1. プロジェクトや事業価値の評価
  1. 株価の理論値の算定
  1. M&Aにおける買収価格の把握
  1. 資本構成(負債と株主資本)の妥当性の判断
  1. 金融商品のリスクとリターンの客観的チェック
  1. 意思決定の解像度の向上(人生の重大局面において)

第1回:オリエンテーション/意思決定と会計情報第1回:イントロダクション
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